Intelと内田洋行の考える「児童1人に1台のPC」

IntelのClassmate PCが日本にもやってきました。
インテルと内田洋行、「児童1人に1台のPC」活動を拡大実施──小学生の英語必修化と学習レベル向上に向け
以前に紹介したものは第2世代でしたが、これは第3世代のタブレットPC版です。
写真と動画で見る「インテル クラスメイトPC」
インストールされているのは、国語と算数の学習ソフト「小学館デジタルドリルシステム」と内田洋行が開発した英語学習ソフト「ATR CALL BRIX」です。
かつてアラン・ケイは、教室に導入されたパソコンを見て、それを「カーゴ・カルト(積荷信仰)」になぞらえました。カーゴ・カルトとは、第二次世界大戦中に米軍の軍需物資で潤った南方の島民が、戦争が終わり米軍がいなくなっても、再び神から贈り物が届けられることを願い、木や葉で飛行機や管制塔の模型を作って祈ったことを指します。
パソコンは飛行機の模型に過ぎず、それをただ導入しただけでは意味がありません。シーモア・パパートが言うように「コンピュータに子供をプログラムさせたいのか。それとも、子供にコンピュータをプログラムさせたいのか」を考える必要があります。恐ろしいのは、アニメや音楽を多用したCAIによって与えられる受動的な楽しみに子供も先生も保護者も満足してしまい、本来コンピュータが持っている可能性に気づかなくなってしまうということです(アランさんは、これを美味しいけれども栄養にならないジャンク・フードと呼んでいます)。私は、アニメのキャラクタを用いたCAIを使っている現場を見たことがありますが、子供たちは「問題」にも「答え」にも「なぜそうなるのか」にも興味を持っていませんでした。関心があるのはアイテムをゲットしてステージをクリアすることだけ。選択肢をランダムに選び、失敗したらリトライの繰り返しです。
自らものを作り出す過程において学ぶという構成主義の考え方は、短期的な「英語必修化と学習レベル向上」には結びつきません。しかし、長期的に見て、コンピュータを使ってなにを行うべきかをよくよく考える必要があると思います。

東洋経済 5月23日号にミッチさんのインタビュー記事

abee22009-06-08

週刊東洋経済 2009年5月23日号の94〜95ページに、

SPECIAL INTERVIEW
ミッチェル・レズニック/マサチューセッツ工科大学メディアラボ教授
「知識の蓄積だけでは不十分。ITを使って創造的に考える力を」

という記事が載っています。
もう店頭にはないかもしれませんが、デジタルコンテンツショップでダウンロード購入できます(要ユーザ登録)。この記事は157円でした。

Make: Tokyo Meeting 03に出展します。

abee22009-05-12

今回で3回目となるものづくりのイベント、Make: Tokyo Meeting 03出展します

展示: Make: 06で紹介された「世界聴診器」を使ったさまざまな応用例をお見せします。世界聴診器は入力電圧に応じた音が出る小さなデバイスです。鉛筆やティッシュ、コイン、紙コップ、Squeak、 Scratch などを使って、実際に楽器やゲームコントローラを作る様子を展示します。また、世界聴診器の展示即売も行います。

プレゼンテーション:世界聴診器を使って何が出来るのかをライブパフォーマンスでお見せします。これはアラン・ケイ博士やニコラス・ネグロポンテ教授に対して行ったデモと同じものです。

OLPC XOClassmate PCも持って行きますので、ぜひいらしてください。

XO-1.5(Gen 1.5)

abee22009-04-19

OLPCのロードマップで予告されていたXO-1(Gen 1)のバージョンアップ版「XO-1.5(Gen 1.5)」の情報が、公式blogで公開されました。
Kicking off a gen-1.5 development process: Updating the XO hardware
合わせて、Wikiのハードウェア情報も追加されています。
Hardware specification 1.5
Gen 1.5は、デュアルスクリーンの次世代機 XO-2(Gen 2)とは異なり、Gen 1と同じ筐体を用います。最大の変更点はCPUで、AMD Geode LX-700 433MHzからVIA C7-M 400MHz〜1GHzに変わります。合わせてチップセットAMD CS5536, CaFE, DCONから、VIA VX855, DCONとなります。RAMは256MBから1GB、SSDは1GBから4GBへとそれぞれ増えます。特徴的なデュアルモードディスプレイは継承され、解像度は200dpi、1200x900ピクセルのままです。ソフトウェアは基本的にGen 1と互換性があり、現行の8.2を修正した8.2.xが用意されます。ドライバ開発用の基板は5月、プロトタイプ数百台は8月に開発者向けに提供されます。
Gen 1.5により、XOは現在のネットブックに近い性能を持つことになります(たとえばHP 2133など)。その一方で消費電力は増加するでしょう(全体の消費電力は不明)。発熱も気になります。また、価格については今回の発表に含まれていません。Gen 1の価格($188)が下がらなかった理由として、思ったより台数が伸びず(約100万台)、スケールメリットが活かせなかったことが挙げられますが、Windows 7も快適に動作すると思われるGen 1.5の導入国がこれまでより増えるかどうか、ここが正念場でしょう。

SCRATCH DAY in TOKYO 開催!

abee22009-04-15

来る5/16、MIT Media Lab Lifelong Kindergartenの呼びかけにより、世界中で「Scratch Day」というイベントが開催されることになりました。これは、Scratchのワークショップやセミナ、ミーティングなどを各国で同時に行おうというものです。
日本でも何箇所か参加を表明していますが、川口市でも「SCRATCH DAY in TOKYO」というイベントを13:00-16:30に開催します。
内容は子供向けのワークショップと大人向けのセミナとハンズオンをパラレルで進行し、最後にジョインします。会場のメディアセブン川口駅前の公共施設ですが、以前からScratchのワークショップを定期的に開催しています。セミナは、私の他、小学校、高校、大学、企業、塾などで実際にScratchを使っている方々を講師にお迎えする予定です。
先月、Scratchのリーダーであるレズニック教授が来日された折も日本での活動やScratch Dayに対する期待を話されていました。たぶん当日はScratchの新バージョンやロボットとの連携についてもデモできると思います。
ご興味があればぜひご参加ください。子供、大人共に事前参加登録が必要です。参加方法はSCRATCH DAY in TOKYOのWebページをご覧ください。

WeDoとScratch

abee22009-03-31

3/26にレゴ エデュケーションの新しいロボット教材、WeDoが発表されました。すでにさまざまなメディアで取り上げられていますが、これは簡易版のMindStormsやCricketとも言えるもので、独立したコンピュータ(RCXやNXT)を持たず、パソコンにUSB接続してコントロールします。スタンドアロンでは動作しませんが、その代わりに安価で(18,900円。MindStormsの約半額)、プログラムをRCXなどに転送する手間がなく、変更がその場で反映されるというメリットもあります。
先日紹介したレズニック教授の来日もこの発表に合わせたものでした。3/28に開催された講演会では、前回の来日時の話に加えて、WeDoとScratchの連携について、デモを交えて説明されました。WeDoにはLabViewベースのWeDoソフトウエアが用意されますが、現在開発されているScratchの次バージョンでもWeDoを操作することができます。具体的には、センサの値を読み取るブロックとモーターを回すためのブロックが追加され、今までのScratchのスクリプトとまったく同じように書くことができます(私は現在その部分の翻訳を行っています)。デモでは「人が大好きなんだけれども、人が近づくとキスするかわりに噛んでしまうワニ」という作品が示されました。従来のPico Board(Scratch Board)では入力(センサー)だけでしたが、それに出力(モーター)が加わったものだと思えばよいと思います。
LOGOやSqueakからロボットを制御する試みは古くからあり、私もSqueakで似たようなことをやっていますが、レゴというブランドで教育カリキュラムも含めてパッケージされているのは重要です。その一方で、子供たち自身がWeDoのようなものを作ること自体に意味があるという考え方もあるかもしれません。その場合はScratch SourceScratch Networking Protocolを使って、自作のロボットやGainerのようなデバイスと組み合わせることも可能です。

レズニック教授講演会

abee22009-03-17

3/28(土)に新宿のジュンク堂書店において、レズニック教授の講演会が開催されるとのことです。

レズニック教授講演会開催
「クリエイティブマインドを育てる種をまく」
−MIT発新コンピューティングツール「スクラッチ」の世界−

■2009年3月28日(土) 19:00開演(18:30開場)

講演者プロフィール:
マサチューセッツ工科大学メディアラボ ライフロング・キンダーガーテン
ミッチェル・レズニック 教授

レズニック教授はMITメディアラボライフロング・キンダーガーテングループ代表。同グループはテクノロジーがどのように学習支援をすることができるかについての様々な研究を続けている。これまでの研究成果からはレゴマインドストームロボットキットなど世界中に普及した学習支援ツールが開発されている。同グループの最新のプロジェクトである「スクラッチ」は世界中ですでに30万人を越えるユーザを獲得し急速に普及が進んでいる。

入場料:1,000円(1ドリンクつき)
会場 :ジュンク堂新宿店8F喫茶にて
定員:40名(定員になり次第締め切りとさせて頂きます。)
ご予約は、ジュンク堂書店新宿店7階レジカウンター、または、お電話にて承ります。(03-5363-1300)