私の考えるワークショップ

abee22009-07-22

教育というと、どうしても教えるもの、教えられるものに区別して考えてしまうことがあります。
LOGO, Squeak Etoys, Scratchを作った人たちが強調しているのが、共同作業(コラボレーション)の重要性です。子供たちは本質的に何かを作ることが好きで、作ったものを他の子に見せたり、教えあったり、一緒に遊んだりするものです。ScratchのレズニックさんはこれをIMAGINE-PROGRAM-SHAREと呼んでいます。うまくいったワークショップでは、これが自発的に生じてうまく回転します。その結果として、「自ら学ぶことを学ぶ(learning learning)」ことを獲得できればと考えています。
私が行うワークショップでも通常は保護者の方は作品制作に参加できません(子供と対等に参加するのはありです)。そうすると製作の主体が大人になってしまい、自分で考えるのをやめてしまいがちだからです。はなはだしい例では発表のときもお子さんの言葉を代弁するような親御さんもいらっしゃいます。
また、ファシリテータも手助けはしますが手伝いはしません。もちろん最初は使い方が分からないのでレクチャーを行いますが、テーマを提示して製作に入った後は積極的に介入することなく、質問に答えたり、ちょっとしたヒントを出したりするくらいです。私のワークショップでは、トラブル時以外は子供のマウスを持つことを禁じています。
私がファシリテータに期待するのは、自分のために作品を作り、その過程で楽しんだかどうかです。テキストを読んでdrive a carをマスターしましたとかはあまり関係ありません(本来、drive a carは基本操作を習得する手段ですが、なぜか目的化していることもあります)。Etoysなどは子供用のおもちゃなのだから大人が真面目に取り組むべきものではないという人もいますが、大人が必要としていないものを子供にやれというのは大きな考え違いでしょう。
私がEtoysやScratchをやっているのは、第一に自分が楽しいからです。私も方便で言うことがありますが、そこにICTがどうしたとか、理科離れが云々とか、創造性だの論理的思考力だのといろいろな理由がついてくると、だんだんと本質から離れていきます。では、冒頭に書いた「自ら学ぶことを学ぶ」はどうなのかですが、これに気づいた瞬間の子供を見ることほど嬉しいことはありません。
「あの先生達は、本当に好きでやってるんやなーわざとらしく子供を楽しませてるんやないわー先生の楽しさが僕達に伝わって、僕達も楽しかった。」
このような感想が聞けるなら、いつまでも続けます。