Etoys vs Scratch

abee22009-02-08

Squeak EtoysとScratchを比較して、「(Scratchは)あまりに使い勝手が良すぎるために、かえって創造性をなくす」という意見を聞きました。私はそのようなことはないと思います。それは公式サイトの32万個の作品からも言えます。
Etoysで、Altキーを押しながらハロを出したり、はめにくいタイルをはめ込んだりするのが創造性ではないのは明らかです。重要なのはそれでなにを作るかであって、使い勝手が良ければ負担が軽減した分をより本質的なものに振り向けられます(使い勝手が悪いほうがよいなら、LOGOに戻るべきとも言えます。目的によってはそれもありです)。指導者の負担も減ります。アランさんが言うように、「ピアノの中に音楽がないように、コンピュータの中にもアイデアはない」訳で、これはEtoysもScratchも同じことです。
EtoysもScratchが違うとすれば、それ自体を分解できるか否かです。よくT型フォードにたとえられますが、Etoysはいざとなれば自分で開けて中身を見たり、改造したりできます(そのため、作品や環境を壊してしまうこともあります)。しかし、Scratchはブラックボックスになっており、開けることができません(反面、シンプルで信頼性は高いです)。これは重要な思想の違いで(メタメディアかどうか)、この部分を狙うのであればEtoysを選ぶべきと思います。ただ、それが必要になった時点で、ScratchからEtoysへステップアップする方法もあります。
また、Scratchに用意された豊富な画像のサンプルを安易に使ってしまい、ネットからコピペして論文を書くような思考停止につながるのではないか、との意見もありました。
私はScratchのサンプルは、特に導入時に有効だと思います。最初に絵を描いてしまうと、それが楽しくてなかなか先に進めません。また、絵が苦手な子はそこで止まってしまいます。他のペイントソフトとEtoysやScratchのようなソフトが違うのは、スクリプティングの部分ですから、そこに注力したほうがより有意義でしょう。
確かに安易なコピペは禁物ですが、サンプルは「それを使って何を作ろうか」という話なので(サンプルを開いただけではなにも起こりません)、まったく違う話だと思います。たとえば、Etoysでも「みんなでたのしくスクイーク」のワークショップのようにサンプルを活用することで効果を上げている事例もあります。
絵を描きたい子は放っておいても絵を描きますし、ScratchのペイントツールはEtoysのものよりよくできているので、その子たちにとってもよいと思います。