似て非なるもの

id:squeakerさんの日記から

Eee PCやClassmate PCとXOは何が違うのかという議論があります。これらは低価格のノートPCという点においては同じです。普通の人が想像するのはノートPCを単に小さく安くしたものかもしれません。
ASUSのEee PCはまさしくそれです。Eee PCは、液晶ディスプレイをカーナビやDVDプレイヤ用の800x480ピクセルとして、HDDの代わりに小容量のSSDを載せていること、CPUが若干低速なことを除けば、ごく普通のノートPCです。プリインストールされているのはカスタマイズされたLinuxで、ワープロ表計算、メール、Webブラウザなどのアプリケーションが動作します。また、Windows XPをインストールすることも可能です。
IntelのClassmate PCは、Eee PCとほぼ同等のハードウェアに手提げやカバーをつけるなどデザインを工夫し、専用の教育ソフトを組み込んだものです。これもLinuxWindows XPが動きます。
これら2つに共通するのは既存のアーキテクチャを用いつつ、パーツやソフトウェアに安価なものを用いることで低価格を実現していることでしょう。
対して、OLPCのXOは子供の教育に求められる機能を実現するため、徹底した目的指向で作られています。メモリ容量やCPU性能はコストや消費電力とのトレードオフでばっさり削られた反面、ディスプレイには独自開発の1200x900ピクセルの液晶パネルが奢られています。このパネルは青空教室ではグレイスケールの反射型として機能し、灯りのない屋内ではバックライト付きのカラーになります。200dpiの解像度は印刷した本に匹敵し、ディスプレイを反転すれば教科書代わりに使えます。ネットワークは無線で、一般的な802.11b/gの他、たとえアクセスポイントが限られていても、1台がインターネットにつながれば他のマシンも芋づる式につながるメッシュネットワーク(802.11s)に対応、アンテナもダイバシティで高感度のものが採用されています。タッチパッドは静電式と感圧式が重なっており、指でカーソルを操作できるだけでなく、スタイラスで文字の練習をしたり、絵を描くこともできます。
他の部品やデザインにもそれぞれ物語があるのですが、あとひとつだけ紹介しましょう。内蔵のデジタルカメラは30fpsで640x480ピクセルの動画を記録できるのですが、自動ゲインコントロールとカラーバランスを無効にできるようになっています。それはなぜか。理科の実験をするときに光度計としても使えるように、です。
数年前、私はWebカメラを使って同じことをしようとしたのですが、プロプライエタリなドライバではこれができませんでした(暗いと勝手に増感するので照度が取れない)。このあたり、他のものと姿かたちは似ていてもまったく別の思想で作られているものだと思います。