歯車とLOGO

シーモア・パパートさんは、OLPCが唱える教育理論の基礎を考えた人です。
パパートさんは歯車好きな子供だったそうで、世の中の仕組みを歯車の動きに置き換えて理解していました。たとえば、歯が24個と8個の歯車が噛み合っていれば、24個の歯車を1周させると8個の歯車は3周します。逆なら1/3周です。これは掛け算と割り算ですね。大きくなると、さすがに実物を持って歩くことはなくなりましたが、頭の中で仮想的な歯車を回していたそうです。
パパートさんの師匠であるジャン・ピアジェ構成主義によると、子供は生まれながらにして世界を理解する心的枠組みを持っています。そして、子供は具体的な経験により、その枠組みを自発的に発展させていきます。
そのような枠組みを素朴概念と言い、科学的に間違っていることもありますが、論理的な一貫性はあります。たとえば、「風を起こすのは木」「木のない海では波」などがそうです。
しばらくして学校に入ると、今度は知識として世界の仕組みを習います。これが科学概念です。素朴概念は科学概念で置き換えられますが、しばしば具体性を欠き、自発的な学習を阻害します(自分の考えを権威で否定されるなど)。
パパートさんは適切な環境と愛着の持てる具体物があれば、科学概念を子供自ら獲得できると考えました。かといって、みんなが歯車を好きになるわけではありません。そこで、どんなものにも化けることができるコンピュータの性質を使って作られたのがLOGOです。(つづく)